
定期健康診断の目的は病気の予防、早期発見だと誤った認識を持つ社員、医療関係者、健診機関が多いのが健康管理を進める上で大きな問題です。仕事によって病気が発症しないよう、就業区分決定の資料作ること、つまり労災の予防が定期健康診断の一番大事な目的です。再検査、精密検査を確実に実施して、就業区分の決定ができなければ健康診断は終わったことになりません。身体検査で終わっている会社が大変多いとお思いではないでしょうか?健康診断の結果を仕事に生かすという発想が大事です。労働安全衛生法は安全に厳しく、衛生に甘い法律です。衛生の部分で罰則規定があるのは、健康診断の実施義務だけです。産業医・衛生管理者がいないのも問題ですが、健康診断を実施しないということは重大な違法行為で、労災等が発生したとき厳しく処罰されます。企業の健康管理の基本は定期健康診断を確実に実施して、その事後フォローを しっかり行うことです。健康診断の結果報告書は、必ず基準局に期限までに提出してください。
健診結果 |
意味・注意点 |
異常なし |
正常と考えられます。 |
心配なし |
基準範囲外ですが、心配ありません。 |
要経過観察 |
服薬などの治療は不要ですが、日常生活に注意をし、ある期間内に繰り返し検査し、その検査を追跡観察する必要があります。 |
要再検 |
検査所見に異常の疑いや、検査結果が基準値からはずれていて、もう一度検査をして確認する必要があります。 |
要精密検査 |
今回の検査より詳しい検査をし、異常の状況を確認する必要があります。 |
要治療 |
治療の必要がありますので、お近くの医療機関で医師の診察を受けて下さい。 |
身長、体重の検査、肥満度は、BMIで判定します。
BMI(Body Mass Indexの略)とは、国際的に用いられている体格の指標で、下記の式で算出され、からだの脂肪の量(体脂肪量)と相関があります。
《BMI指数の求め方》BMI指数= 体重kg÷身長m÷身長m
| <肥満判定> |
| BMI |
日本肥満学会による判定 |
WHO基準 |
| 18.5未満 |
低体重 |
低体重 |
| 18.5〜24.9 |
普通 |
正常 |
| 25.0〜29.9 |
肥満(1度) |
前肥満 |
| 30.0〜34.9 |
肥満(2度) |
度 |
| 35.0〜39.9 |
肥満(3度) |
度 |
| 40.0以上 |
肥満(4度) |
度 |
高度の肥満は高血圧、心臓病、糖尿病などの原因になります。適度な運動と食事管理により適正体重を維持するよう心がけましょう。
・心電図検査(安静時心電図検査)
心臓の動きにより発生する電流を体の表面から検出し、不整脈(心臓の収縮するリズムの乱れ)や心肥大・狭心症などの有無を調べます。
・胸部エックス線検査
肺の疾患の有無を調べます。肺結核、肺がん、肺炎、慢性気管支炎、肺気腫、じん肺などの発見に役立ちます。心臓の大きさや形についても大まかに観察でき、時に、症状や心電図とあわせて有用な情報を提供してくれることもあります。
・血圧の測定
血圧とは心臓から送り出された血液が、血管に与える圧力のことです。 心臓が収縮して血液を全身に送り出したときの圧力を、最大血圧(収縮期血圧)といいます。一方、心臓が拡張して血液を吸い込んだときの圧力を、最小血圧(拡張期血圧)といいます。収縮期血圧140mmHg以上あるいは拡張期血圧90mmHg以上の場合には、高血圧と判定されます。 血圧の高い状態が続けば脳卒中、心臓病、腎臓病などにかかりやすくなります。血圧を高くしないためには、塩分を控え、ストレス、肥満、過労などに注意が必要です。低血圧は自覚症状がなければ支障ありませんが規則正しい日常生活が望まれます。

・血中脂質検査(総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
血液中のコレステロールが増えると、血管の内側に付着し動脈硬化を引き起こし、高血圧症、心筋梗塞、狭心症の原因となります。HDLは、「善玉」コレステロールです。HDLが少ない場合には、運動(1日1万歩程度歩くのが有効)や禁煙により改善されます。また、適度なアルコール摂取(2合程度まで)でも増加します。中性脂肪とは、体内脂肪のひとつで、身体のエネルギー源として使われ、余った場合に皮下脂肪となりますが、過剰に貯められた場合、血液中に放出され上昇します。
・肝機能検査(GOT(AST)、GPT(ALT)、Γ-GTP)
肝臓はたくさんの複雑な働きをしているため、その機能を調べるためには、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断することが必要です。 GOT(AST)、GPT(ALT)の増加は、肝炎、肝硬変、脂肪肝などの肝臓の組織に障害を意味し100U/Lを超える異常は活動性肝炎のことも多く治療が必要です。Γ-GTPは主に腎臓、膵臓、肝臓などの上皮細胞に含まれる酵素で、その増加は、上記疾患以外に胆石などの胆道疾患やアルコール常飲者に見られます。節酒、休肝日の設定が必要です。肝機能低下の主な原因としては、以下のものが多いようです。
(1)ウイルス性肝炎: 肝炎をおこすウイルスとして、A・B・C・D・E型などがあります。
(2)アルコール性肝炎: 長年アルコールを多量に飲み続けることによっておこります。断酒することで症状は改善しますが、そのまま飲み続けるとアルコール性の肝硬変に至ることもあります。
(3)脂肪肝: 肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積されておこるもので、酒をよく飲む人、肥満の人にみられます。断酒、減量などで改善します。
・貧血検査(血色素量、赤血球数)
赤血球は、身体の細胞に酸素を運び、不要な炭酸ガスを運び去る働きをしています。貧血とは、赤血球数やヘモグロビン量が少なくなり、からだの各組織へ酸素がうまく運搬されない状態をいいます。逆に多い場合は、血液の流れが悪くなり、血管がつまりやすくなります。
・尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
尿には通常蛋白は出てきませんが、腎臓に障害が起こると、尿中に蛋白質が漏れ出てしまいます。尿蛋白陽性は、腎臓病発見の手がかりとなります。なお、激しい運動や入浴後、精神的な興奮やストレス、寒さ・暑さ、女性は生理前後などにも陽性(+)反応が出る場合があります。尿蛋白検査だけでは腎臓の病気を判断することはできませんので、陽性になったら詳しい検査が必要となります。尿糖検査は糖尿病発見の手がかりとなります。糖尿病で血糖値が高くなると尿に糖が出るようになります。ただし、食後や激しい運動の後やストレスなどでも一次的に陽性になる場合があります。また、腎性尿糖といって血糖値が高くないのに尿糖が陽性になる場合や、それとは逆に、血糖値が高くても尿糖が陰性になる場合などもありますので、尿糖の結果だけで糖尿病について自己判断するのは非常に危険です。尿糖が陽性の場合は血糖検査を行う必要があります。
・血糖検査(血中グルコース量またはヘモグロビンA1Cのいずれか)
糖尿病の診断に欠かせない検査です。糖尿病は膵臓から分泌されるインシュリンというホルモンの作用が不足して起きる病気です。インシュリンが不足すると血液中にブドウ糖があふれ高血糖となり、この高血糖状態が続くのが糖尿病です。空腹時の血糖値が126mg/dl以上または、食後2時間の血糖値が200mg/dl以上であれば糖尿病型と診断されます。また、空腹時の血糖値が110mg/dl以上または、負荷2時間後の血糖値が140mg/dl以上の場合は、耐糖能異常と呼ばれ将来糖尿病に進行する可能性がありますので、カロリー過剰摂取や肥満に注意し年1回〜2回定期的に血糖検査を受けるようにしましょう。ヘモグロビンA1Cは、赤血球中に含まれるヘモグロビンと、ブドウ糖が結合したもので、長期間(1〜3ヶ月前)の血糖状態を観察するのに有効です。食事の影響を受けないため現在糖尿病の診断のための重要な検査となっています。
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正常 |
糖尿病 または 予備軍 |
糖尿病 |
重症糖尿病 |
| 空腹時血糖(mg/dl) |
110以下 |
110〜125 |
126〜139 |
140以上 |
| 食後2時間血糖(mg/dl) |
120以下 |
120〜169 |
170〜199 |
200以上 |
| HbA1C(%) |
5.8以下 |
5.8〜6.5 |
6.6〜7.9 |
8.0以上 |
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